国語辞典編纂者の飯間浩明さんがTwitterでこんな画像で問題を出しました。間違っていると言っているのにも関わらず、どこが間違っているのかわからない人が続出しています。
都内某所の定食屋の看板。見たことない漢字が混じっていますが、分かりますか。後の字に影響されて前の字が変わってしまう「逆行同化」という現象です。 pic.twitter.com/v1lyzpY2xF
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2014, 7月 17
答えはよく見ればわかりますよね?画像中央あたりにありますよ。
筆者は見た瞬間わかりました…。わかったのですが、「間違ってるはずだけど、本当に間違っているのか?自分の記憶が間違っているんじゃ?」という感覚がしばらく抜けませんでした。
恐らくこの感覚が強い人が、答えがわからなくなる人なのではないのかと思います。
逆行同化とは?
誤字に対する逆行同化という言葉は一般的に知られている呼称ではなさそうです。MemCode調査で確認出来た「逆行同化」は発声に対するものでした。こちらは、「後続の音によって、その前に音が変わる」といった意味のようです。
これを誤字に転用して、後続の文字の使用頻度の高い部分字体が、前も文字の一部に影響してしまう現象のことを指しているのだと思います。
三省堂辞書サイトさんにも以下のような、実例が掲載されていました。
「勉強」と書こうとして、その1字目を「勉(力はム)」とホワイトボードに書き間違えている学生が前日にいたのにもインスパイアーされた。女子がヒソヒソと小声で「力だよね」、「違っている」、私に言いに来た人もいた。書いた当人に確かめると、「勉学」でも、「つとむ」という名でも同じ字だという、でも「アレ?」というので、彼にとって臨時的な字体ではなさそうだ。
「間違ってんの?」と聞き、考えて「力」だと気付く。なにか変だなと思いながら書いていたそうだ。自分でも、どこかおかしいと思っていたとのこと。何かを省略しているのか、と考え、「どうしてだろう」と不思議がるので、「鬼」からでは、というと、「鬼」と書き、さらに左に「云」を加え「魂」と書いてみていた。隣の男子が「勉」のほうが先に習うという。もしかしたら、本で印象深く目に入っていただけでなく、次に熟語でよくくる「強」の「ム」が影響したもの(部分字体に生じる逆行同化)なのでは、と指摘してみる。
「勉強」の共通誤字 | 三省堂辞書サイト ーより引用
熟語全体のイメージで覚えていて、漢字を書いていても、そのイメージに影響されてしまうということなのでしょうかね?
書き手の方はそのようなことなのかもしれませんが、私達、読み手がわからなくなる現象はいったい?
本当に人間の記憶などの領域には不思議な事が多いですよね!