皆さんはヘンリー・ダーガーというアメリカの作家(1892年-1973年)をご存知でしょうか?彼は『非現実の王国で』を19歳から、亡くなる半年前に救貧院に入るまで、誰に知られることもなく書き続けました。
彼の住んでいたアパートの大家に持ち物の処分を問われると「捨ててくれ」と言ったそうです。
大家はネイサン・ラーナーという芸術家、処分に部屋に入ると残されていた作品を発見し驚きました。ラーナーはダーガーの作品を発表し、ニューヨーク近代美術館に寄贈しました。ダーガーの部屋も保存され、博物館として小説と共に公開されているそうです。
人物
4歳で母と死別。足の不自由な父に育てられました。小学校では1年生で3年に飛び級し、読書が好きだったそうです。8歳で父が体調を崩すと、少年施設に入りますが、コミュニケーションがうまくとれずに退学することに。12歳で感情障害の兆候が出たという理由で、知的障害児の施設にいれられました。
16歳で施設を脱走すると聖ジョゼフ病院の掃除人として働き始め73歳で強制的に辞めさせられるまで続けたようです。
物語
『グランデリニア』とよばれる、子供奴隷制を持つ軍事国家と、『アビエニア』とよばれるカトリック国家との戦争が舞台です。アビエニアを率いる7人の少女戦士、ヴィヴィアン姉妹が主人公の物語。
ダーガーは物語の完成後も、同じヴィヴィアン・ガールズを主人公とした続編『シカゴにおけるさらなる冒険』を書いていてこちらも8千5百ページに及ぶ長編作品です。
写真展が開催
2015年2月20日(金)から3月12日(木)までの間、新宿にあるエプソンイメージングギャラリー エプサイトで、北島敬三写真展「ヘンリー・ダーガーの部屋」が開催されます。
ダーガーの死から27年後、取り壊される直前の自宅を写真家・北島敬三さんが撮影したものです。
北島敬三写真展「ヘンリー・ダーガーの部屋」
開催期間:2015年2月20日(金)〜3月12日(木)
時間:10:30〜18:00 ※最終日は15:00まで。
休館日:日曜日
会場:エプソンイメージングギャラリー エプサイト
住所:東京都新宿区西新宿2-1-1 新宿三井ビル1階
TEL:03-3345-9881
入場料:無料
この写真展を見て、ダーガーがなぜ誰にも知られずに作品を書き続けていたのか、また、本当はどんな人物でどんなことを考えて日々を過ごしていたのかがわかるかもしれませんね。