1月9日から静岡県三島市中田町の佐野美術館で企画展『ひとの縁は、ものの縁』が開催されています。沼津市出身の実業家矢部利雄氏(1905〜1996年)が、地元のコレクターや東京の文化人と半世紀にわたって親交を深めながら収集したコレクションを初公開しています。
展示品のなかで特に注目なのが、天下三名槍の一つとされ、11年ぶりに公開される「蜻蛉切(とんぼぎり)」。徳川四天王の一人でもあり、戦国時代きっての武人とされた本多忠勝(1548〜1610)が、鹿の角をあしらった兜とともに愛用したのがこの蜻蛉切と言われています。
蜻蛉切について
製作者は名匠村正一派の刀工の一人、藤原正真(ふじわらのまさざね)と伝えられています。美しい刃紋が特徴で、刃の長さは43.7センチ。
蜻蛉切の名前の由来 〜「トンボ真っ二つ」の逸話〜
戦場で忠勝が槍を立てて休んでいたところ,どこからか一匹の蜻蛉が飛んできました。そして穂先に止まったかと思うと,その蜻蛉は真っ二つになってしまったという逸話に由来しているそうです。
企画展「ひとの縁は、ものの縁」概要
名刀のほか、漆工品、陶磁器など矢部氏の所蔵品から国宝1点、重要文化財2点を含む約100点を出展。
展示期間:1月9日〜2月15日(木曜休館)
開館時間:10:00〜17:00(入館の受付は16:30まで)
入館料:一般、大学生1,000円、小中高校生500円
問い合わせ:佐野美術館〈電話番号055(975)7278〉
まとめ
多くの戦をかいくぐり、長い時を経て現代まで脈々と伝えられた日本の刀剣を見ると、何とも言えない「妖しさ」を感じます。滅多に人の目に触れる機会のない本多忠勝の「蜻蛉切(とんぼぎり)」。この機会にぜひ見てみたいものです!
- 出典
- 佐野美術館