アメリカの大学の医学部が生徒に教える鉄則に「サットンの法則」というものがあります。これは病名を特定する診断で、病状を最初に診断するとき「診断結果を無定見に羅列するのではなく、最も確かな疾患から順に挙げる」というものです。
つまり、「最も確実な診断をするには、余分な検査を省いて肝心な検査だけに集中させ、最も安価な検査費で、治療法を迅速に見つける」ように諭しているのだそうです。
この医師としての鉄則はウィリー・サットン氏に由来しています。彼は1920年〜30年代にかけて多くの銀行を襲い計200万ドルを強奪したことで有名な人物です。人生の半分を刑務所で過ごした彼が、記者に「なぜ、銀行を襲ったのか?」と聞かれて、「そこにお金があるからさ」と答えたそうです。
ウィリー・サットン氏
確実にお金がある場所を襲えば、効果的にお金を得られる。ということです。
このことから彼の伝説は「まず、お金のあるところへ行け」という教訓になり、それが医学教育の鉄則にもなりました。サットンの法則は医学分野だけでなく、経営にも適用されています。「一番費用のかかる製造工程は合理化する余地が最も大きく、全体のコストを引き下げる可能性が高いので、それを何よりも重視するべきだ」ということです。
以前に取りあげたパレートの法則と同じように、大きな効果のでる重要な要因に目を向けろ、ということなんですね。