1987年のPC8801VA以降PC88シリーズは衰退を始めました。そして代わって台頭したのがPC-9801シリーズでした。発売自体はPC88シリーズと殆どかわらないのですが、ビジネスライクで拡張性を重視した仕様のため、ホビーユースには受け入れられていませんでした。
PCの基礎を知れ!まずは歴史からだ!PC-8001
PCの基礎を知れ!まずは歴史からだ!PC-8001(2)
PCの基礎を知れ!まずは歴史からだ!PC-8801mkⅡSR
ですが、PC88シリーズは加速する周辺機器の発達についていけず、拡張性の高さとそもそものハードスペックの高さから98シリーズへとユーザーは移っていきます。
MS-DOS
PC98シリーズへユーザーが移行した大きな理由として、MicrosoftのMS-DOSがあります。機種の違いをこのOSと呼ばれるソフトウェアが仲介することで無くすという設計を基に作られたソフトウェアです。
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MS-DOS画面
もちろん、この時点で全ての挙動をソフトウェアで受け止めきれるわけはありません。ハードウェアの制御仕様はこの時点でデバイスドライバーと呼ばれるソフトウェアが制御することになり、それまで機種毎に対応周辺機器が用意されていた時代から入出力仕様を統一することで、ある程度の対応機種の統合が図られていきました。
周辺機器はSCSIという統一仕様が策定され、PC98シリーズもCバスと呼ばれる拡張スロットにSCSIボードを設置することによってSCSI機器に対応しました。周辺機器の中でも大きな革新となったのはハードディスクドライブです。PC-9801VM以降、ハードディスクドライブが標準搭載モデルも発売され、次第にハードディスクドライブからOSを起動するという現在の様式に沿ったものとなっていきます。ちなみに、PC-9801VM2(ハードディスクドライブ無しモデル)は41万5千円、PC-9801VM4は(20MBのハードディスクドライブ搭載)は83万円でした。
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98用SCSIボード
PC98シリーズが遺したもの
MS-DOS時代以降大きな機能仕様の変更はあまりなく、CPUやメモリ強化による高速化とハードディスクドライブ容量や拡張スロットの改善といった速度と容量面での拡張が1990年代前半まで続くことになります。この長期にわたる標準仕様の固定化が莫大なソフトウェア資産を産んだとも言えるのではないでしょうか。
ホビーユースでは1987年ころまで陽の目を見なかったとはいえ、1982年の初代機から後継アーキテクチャであるPC98-NXが発売される1997年までの実に15年間もの継続期間と一時期の日本のコンピュータ市場の90%近くを独占していたと言われる98シリーズはすごいとしか言いようがないですね。
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SimCity
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大戦略
同時期に展開していた製品
1987年にはX68000が1989年にはFM TOWNSが発売されています。PC98シリーズとは別のメインターゲットとしたことで熱烈なユーザー層を集めました。
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X68000
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FM TOWNS